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コロナで休園・休校ー小学校休業等対応助成金の内容・申請方法は?



新型コロナウイルスの感染がこれまでにない速さで急速に拡がり、「コロナ」という言葉を耳にしない日はありません。

特にワクチン未接種の子どもの感染が増え、全国各地で学級閉鎖や保育園・幼稚園の休園が相次ぎ、働く保護者にとっては深刻な問題となっています。

そこで今回は、コロナウイルス感染症の影響で保護者である労働者が仕事を休んだ場合に利用できる助成金「小学校休業等対応助成金」について、積極的に活用していただけるように、できる限り簡潔に解説していきたいと思います。

 

目次

どんなときに利用できるの?

小学校休業等対応助成金は次の場合に利用できます。

 ① 令和3年8月1日から令和4年3月31日(※)の間に、
  ※令和4年3月現在、令和4年6月末までに延長されています。7月1日から
   は「両立支援助成金・育児休業支援コースの新型コロナウイルス感染症対応
   特例」に変わる予定です。
 ② 事業所を1日以上勤務をした労働者が、
 ③ 新型コロナウイルス感染症の対応策として臨時休業をした小学校・保育園等に通う子ども、
  あるいは新型コロナウイルスに感染した子どもや感染した恐れのある子どもなど小学校等
  を休む必要がある子どもの世話を
 ④ 保護者として行うために
 ⑤ 労働者個人の年次有給休暇とは別の有給休暇(特別有給休暇)を取得した
場合です。

注意していただきたいのは、この助成金は労働者個人が受給するものではなく、会社が支払った特別有給休暇の賃金相当額に対する助成となります。つまり、受給(請求)するのは会社です。

この助成金の利用しやすい点は、休暇制度について就業規則に規定していなかったとしても(もちろん、規定することが望ましいのですが)、要件に該当すれば受給できる点です。通常、雇用関係の助成金を申請するには、就業規則等の整備が必須ですが、この助成金はあえて規則の整備を求めず、結果として労働者が対象の休暇を取りやすいようにしているといえます。

また、雇用調整助成金と同様、雇用保険に非加入の方も対象(小学校休業等対応助成金)になります。

上記③~⑤については、以下に詳しくみていきます。

「新型コロナウイルス感染症の対応策として臨時休業をした小学校・保育園等に通う子ども、あるいは新型コロナウイルスに感染した子どもや感染した恐れのある子どもなど小学校等を休む必要がある子どもの世話を」とは?

まずは、③の要件を細かく分けて説明していきます。

 〇「臨時休業」とは?
  新型コロナウイルス感染症の対応として、「小学校・保育園・幼稚園などが臨時休業をした場合」
  「学童クラブや保育園から利用を控えるよう依頼のあった場合」をいいます。
  要は、実際にコロナウイルス感染者が出て休所・休園となった場合のみでなく、
  いわゆる「登所・登園自粛」の期間についても対象になるということです。

 〇「小学校・保育園等」とは?
  主なものとして、
  ・小学校、義務教育学校の前期課程、各種学校(幼稚園または小学校の課程に類する課程を置くものに
   限る)、特別支援学校(全ての部)※障害のある子どもについては、中学校、義務教育学校の後期課
   程、高等学校、各種学校(高等学校までの課程に類する課程)なども含む
  ・放課後児童クラブ、放課後等デイサービス
  ・幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、家庭的保育事業等、子どもの一時的な預かりなど
   を行う事業、障害児の通所支援を行う施設など
  があります。

  詳しくはこちらの支給要領でご確認下さい。

   雇用保険加入者用支給要領
    https://www.mhlw.go.jp/content/000837524.pdf

   雇用保険非加入者用支給要領
    https://www.mhlw.go.jp/content/000837524.pdf
   

 〇「新型コロナウイルスに感染した子どもや感染した恐れのある子どもなど小学校等を休む必要がある子ども」とは?
  対象となる子どもは以下の4パターンが挙げられます。
  ・新型コロナウイルスに感染した
  ・発熱等の風邪症状が見られる
  ・新型コロナウイルスに感染した者の濃厚接触者である
  ・医療的ケアが日常的に必要または新型コロナウイルスに感染した場合に重篤化するリスクの高い基礎疾
   患等を有する子ども(原則小学校相当を卒業するまでの子どもですが、障害のある子どもについては、
   高等学校相当を卒業するまで(放課後デイサービスについては19歳まで)の子どもが対象)

「保護者として行うために」とは?

ここでの「保護者」とは、親権者に限られず、未成年後見人、里親や祖父母等「子どもを現に監護する者」も対象になります。したがって、父母だけではなく、孫の世話をする祖父母でも該当し得るということになります。
また、事業主が有給休暇を取得させた(=事業主が有給休暇取得を認めた)場合は、子どもの世話を一時的に補助する親族も対象となります。この助成金において、休暇の取得は一家族につき1日1人に限られないので、1日に複数の家族(父と母など)が対象になることも認められます。

「労働者個人の年次有給休暇とは別の有給休暇(特別有給休暇)を取得した」とは?

ここでの「有給休暇」とは、労働基準法第39条の年次有給休暇とは別に与えたものであることが必要です。
有給休暇ですから、当然、通常の年次有給休暇と同等の賃金が支払われたものでなければなりません。
たとえ、有給休暇の賃金がこの助成金の給付額の日額上限(後述)を超える場合であっても、全額を支払う必要がありますので上限を超えるからという理由で賃金を減額することはできません。

また「半日単位」あるいは「時間単位」で有給休暇を取得した場合も対象となりますが、勤務時間の短縮(所定労働時間を短くする)は、休暇とはいえないため対象となりません。ですが、勤務時間短縮の措置を労働者の同意を得たうえで事後的に特別有給休暇に振り替えることは可能です。労働者個人(労働基準法第39条)の年次有給休暇や欠勤についても同様に事後の振替えが可能です。

助成額は?

この助成金の支給額は、対象労働者1人につき、
 【対象労働者の日額換算賃金額×有給休暇の日数】
です。
1人ずつ上記の計算式で算出し、対象者全員の額を合計したものが企業の受給額となります。

「日額換算」の仕方については、時間給者は時間給×1日の所定労働時間、日給者は日額、月給者は月額÷月の所定労働日数となりますが、時間給に月額の手当がある場合などは、時間給と月額の手当それぞれを日額に換算しそれを合計したものになります。

ただし、上記方法で算出した「日額換算賃金」には以下の通り、上限があります。

 令和3年11月1日~12月31日までの休暇:13,500円
 令和4年1月1日~2月28日までの休暇:11,000円
 令和4年3月1日~3月31日までの休暇: 9,000円
 令和4年4月1日~6月30日までの休暇: 9,000円
  ※対象期間中に緊急事態宣言の対象区域またはまん延防止の区域に指定されている地域では、15,000円

「有給休暇の日数」について、時間単位で取得した分は合計して日数に換算しますが、それでも時間分の端数が生じた場合は、日額換算賃金額を時給換算した額にその時間数を乗じて算出します。
例えば、所定労働時間8時間の労働者が半日(4時間)を3回取得した場合、「有給休暇の日数」は1日と4時間ということになります。

申請方法は?

以下の書類を揃えて、期限内(後述)に本社等管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に、簡易書留や特定記録等(レターパックでも可)配達記録の残る方法で郵送します。
申請は、事業所(本店・支店など)ごとではなく「事業主(企業)単位」でまとめて行います。

〇必要書類
 ①支給申請書(様式第1号①)
 ②支給申請書(様式第1号②)
 ③有給休暇取得確認書(様式第2号)
 ④対象労働者ごとの出勤簿・タイムカード等(休暇取得が確認できる月分)
 ⑤対象労働者ごとの賃金台帳・給与明細等(有給休暇であることが確認できる月分)
 ⑥対象労働者の雇用契約書・労働条件通知書等(所定労働日・労働時間・通常の賃金が確認できるもの)
 ⑦初回のみ通帳のコピー等(振込先口座を確認できるもの)
 ⑧その他(必要に応じて)
 ・労働保険保険関係成立届、概算保険料申告書等(雇用保険の適用がない事業主の場合)
 ・小学校等からの臨時休業等のお知らせ(小学校休業による休暇の場合)
  ※お知らせがない場合は様式第2号に休業期間を記入

①~③については以下の厚労省のサイトに様式がありますが、様式は休暇取得の期間ごとに異なる(日額上限が異なるため)ので対象期間に合わせて作成して下さい。
また、雇用保険非加入者についても別の様式(小学校休業等対応助成金)となりますので、必要に応じてこちらも別途作成下さい。

新型コロナ休暇支援/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html

様式記載例(雇用保険加入者用)
https://www.mhlw.go.jp/content/000837512.pdf

様式記載例(雇用保険非加入者用)
https://www.mhlw.go.jp/content/000837513.pdf

〇申請期限
申請期限は対象期間により以下のようになっています。
令和3年11月1日~12月31日 → 令和3年11月1日~令和4年2月28日(必着)
令和4年1月1日~3月31日 → 令和4年1月1日~令和4年5月31日(必着)
令和4年4月1日~6月30日 → 令和4年4月1日~令和4年8月31日(必着)
申請書類は期間内必着です。消印が期間内であっても到着が期間を過ぎていた場合は受理されませんので十分にご注意下さい。

注意点は?

ここまで、この助成金がどのようなものかについてお話してきました。
次に実際にこの助成金を申請するにあたっての注意点について触れておきます。

日曜日、春休みなどに休暇を取得した場合の取扱い

原則として日曜日や春休みなど元々学校などのない日に取得した休暇はこの助成金の対象にはなりません。
ただし、「新型コロナウイルスに感染した子どもや感染した恐れのある子どもなど小学校等を休む必要のある子ども」(発熱等の風邪症状が見られる、新型コロナウイルスに感染した者の濃厚接触者である、医療的ケアが日常的に必要又は新型コロナウイルスに感染した場合に重篤化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども)について休暇を取得するときは、元々学校などがない日であっても、子どもの世話をするための休暇であれば対象になります。

申請期限について

期限については先ほどもお話しましたが、重要なことなので再度確認しておきます。

申請期限は対象期間により異なりますので、休暇取得が長期にわたる場合は特にお気をつけ下さい。(また、申請書も対象期間に応じてそれぞれ作成下さい)
郵送の際は記録の残る方法(配達記録、レターパック等)で行い、書類は当日消印有効ではなく必着となりますので必ず期限内に届くように余裕をもって発送して下さい。

ちなみに、雇用調整助成金の場合は申請書の控えと返信用封筒を入れておくと受付印が押された控えが返送されますが、この助成金ではこのような取り扱いはありませんので控えの同封は不要です。

その他、受給にあっての一般的な要件(併給・不正受給に関すること等)もありますので、詳しくはこちらで確認下さい。

問い合わせ先

雇用調整助成金、産業雇用安定助成金、小学校休業等対応助成金・支援金コールセンター
  TEL :0120-603-999
  受付時間:9:00~21:00 (土日・祝日含む)

終わりに

ここまで、小学校休業等対応助成金についてみてきました。できる限り分かりやすく簡潔に解説したつもりですので、この記事が活用の一助になりましたら幸いです。

既にテレワークを導入しているという会社であっても、子どもの世話をしながらの在宅勤務はかなりの労力を要するかと思われますので、ワークライフバランスを見直すためにも、ぜひこちらの助成金の活用を検討してみて下さい。


弊事務所は、愛知県名古屋市で創業60年を超える社会保険労務士(社労士)事務所です。
弊事務所では、複数の有資格者スタッフが小学校休業等対応助成金の申請手続に携わっております。
また、そのほかにも様々な助成金、労務管理、就業規則、労働問題など数多くの相談を受けてきました。
今回取り上げたの小学校休業等対応助成金についてはもちろん、その他の事でも疑問点やお困りのことがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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